鎌倉市のごみ、大丈夫?横須賀ごみ処理施設に視察に行きました
鎌倉市のごみの行方はどうなる?
鎌倉市では令和6年度末に名越の焼却施設を停止し、それ以降は「鎌倉市・逗子市・葉山町ごみ処理広域化実施計画」に基づき、可燃ごみは逗子市で焼却されることになっています。
しかしながら、逗子市の施設も老朽化のためにずっとと言うわけにもいかず、その先の鎌倉市のごみの行方についても早急に考えていかなければいけません。
横須賀市と三浦市でごみ処理施設を建設〜令和3年から広域処理を開始〜
11月13日に神奈川ネットワーク運動鎌倉と横須賀のメンバーで、横須賀ごみ処理施設(エコミル)に視察に行きました。
もともと不燃ごみの施設だった場所を建て替えて作られ、広大な横須賀市の住宅地からは少し外れた山の上にあり、車で行かないと不便な場所にありました。
横須賀市は焼却施設が老朽化したことから早急の建て替えを必要としていましたが、施設用地の確保や財政上の理由から、三浦市と循環型社会の形成に向け協定を結び、横須賀市は焼却施設と不燃ごみなど選別施設を兼ねたエコミルを、三浦市は不燃ごみの最終処分場を共同で建設し、令和3年からごみの広域化処理が開始されました。
エコミルは211億円で建設され、そのうち国からの補助は焼却施設に1/2,不燃ごみ等選別施設に1/3とのことです。
横須賀市のごみ処理施設(エコミル)はどんな施設?
- 愛称は公募で「エコミル」に。 エコ+Mill(工場という意)
- 法令に定める基準値より厳しい排ガス自主基準値を定めている。
- ごみ焼却による発電
最大6600KW発電可能。発電した電気の約1/4を使用し余った電気は売電(令和4年度は4億2千万円を売電)
〜焼却施設の概要〜
- 1日200台で約300トンを運搬車が運ぶ → プラットホームへ(臭気対策のため入り口にはエアカーテンを設置)
- プラットホーム(1〜7に分かれ、1は三浦市専用、7は一般持ち込み用) → ごみピットに投入し一旦貯留(5日分1800トン可能)
- ごみクレーンでごみ投入ホッパへ投入→3機の焼却炉へ(常時2〜3機運転、850℃の高温で安定して焼却)
- 熱エネルギーによりボイラで蒸気を発生→ 蒸気タービン機で最大6600KWの発電
- 排ガス処理(ろ過式集じん機・湿式排ガス洗煙装置・触媒脱硝装置)で有害物質を取り除き大気に放出
- 焼却灰(1日30トン)は資源化施設へ
〜不燃ごみ選別施設の概要〜
- 前処理ヤードで仕分け→不燃、粗大ごみはプラットホームからそれぞれのピットへ
- 粗大ごみは細かく砕く(低速・高速回転式破砕機)
- 鉄類・不燃物・アルミ、可燃物に分類(磁選機・粒度選別機・アルミ選別機)→ パンカに貯留
- アルミパンカ・鉄分パンカ → 建築資材・自動車・電気製品にリサイクル
不燃物パンカ → 三浦市一般廃棄物最終処分場で埋め立て(埋め立て容量48,900㎥・建屋の内部に埋め立て) - 集じん設備(サイクロン・ろ過式集じん機・脱臭装置)を経て大気放出
エコミルは稼働開始から3年弱とまだ新しいので、売電などの収益も多く排ガスなどの環境負荷の少ない素晴らしい施設だと思いましたが、今後、災害や事故などのトラブルの影響やごみ処理施設のメンテナンスなどの費用がどのくらいかかっていくのか心配もあります。
いずれにせよ、ごみの問題は未来永劫なくなりません!
鎌倉市も中長期的に先を見据えて考えなければいけない課題ですが先行きが不透明で不安いっぱいです。
横須賀市の新しい施設は、将来の人口規模などを見越して最小限の規模で造られているため、これ以上の他市からの受け入れは難しそうなことがわかり、将来、鎌倉市のごみの受け入れの可能性は…という淡い期待は消えてしまいました。
引き続き注視すべき課題が鎌倉市には山積みです。あらゆる問題を先延ばしにして、次世代にツケを残さないで欲しいものです。