横浜が攻撃拠点に?米軍施設「横浜ノースドッグ」の運用開始へ

〜横浜が攻撃拠点になるかもしれない!米軍施設「横浜ノースドック」運用開始〜

 2024年7月31日、神奈川ネットの企画「海から見る横浜ノースドック」ピースリングツアーに子ども2人と一緒に参加しました。

以前、同じようなツアーに参加した際に船酔いを経験した娘は、その時の恐怖を思い出してか、乗る前から具合が悪くなるというハプニングがありましたが、なんとか京浜フェリー横浜港周遊船に乗船しました。

米軍の艦船や航空機の動向を調べて発信している基地監視団体「リムピース」の星野潔さんの解説を聞きながら海から横浜ノースドッグを視察しました。

象の鼻パークから出発し、横浜港大さん橋、馴染みのある観覧車やジェットコースターなどの観光スポット、本牧埠頭のコンテナを眺めつつ、途中から船の2階の屋外デッキへ移動。船が進むと海風が心地良く、テンションが上がった子どもたちを見て私もホッと一安心したところで、ベイブリッジを抜け、視界に横浜ノースドッグが見えてきました。巨大な音響測定艦2艇がドーンと目の前に現れ、作業中の船員はにこやかに手を振ってくる、隣を見ると子どもたちも嬉しそうに振り返している、その友好的な雰囲気に胸のざわつきを覚えながらも、測定艦のその不思議な形と存在感に圧倒されました。

 

横浜ノースドックとは

みなとみらいや赤レンガ倉庫、山下公園の目と鼻の先にある、横浜港のど真ん中にある米軍基地「横浜ノースドック」の存在を、横浜を楽しむ多くの観光客、市民さえよく知らないのではないでしょうか。

かくいう私も2019年に行われた神奈川ネットのピースリングバスツアー(横浜ノースドック〜横須賀港〜逗子の池子米軍住宅)で初めて知りました。

横浜ノースドックは横浜スタジアム20個分の面積があり、敗戦後は米軍に接収されて以降、現在までアメリカ陸軍および海軍の基地であり、1972年のベトナム戦争時は「戦車闘争」の舞台になったそうです。(ベトナムに向けて搬出される戦車を市長権限とともに多くの人たちが座り込んで止め、米軍は100日以上戦車を搬出できなかった。)

横浜ノースドックの役割

①アメリカ陸軍(陸軍省の監視下、侵略的脅威の対処、長期紛争など)の輸送拠点

・装甲車、軍事物資を演習場などへ運ぶ

・ヘリコプター13機(ノースドックから一斉に飛び立つ)

・追撃ミサイルP A C3の展開訓練のため那覇→ノースドック→横田・厚木へ

②アメリカ海兵隊(海軍の監視下、国防総省所属、初動対応部隊)の輸送拠点

・実弾射撃演習のため155ミリりゅう弾砲を沖縄→ノースドック→東富士演習場へ

・高速輸送艦で数百人の海兵隊員を那覇軍港→ノースドック→キャンプ富士へ

③陸上自衛隊の共同使用・出動拠点

・ホークミサイル部隊がアメリカでの訓練に使用した装備を日本に運び、ノースドックへ→自衛隊員が搬出

・16式戦車 宮城→ノースドック→佐世保

④「有事」に部隊を展開する際の受け入れ・駐留作戦準備・前方展開戦力統合(R S O I)の拠点

⑤海軍特殊任務船の拠点

音響測定艦

・音響測定艦(米軍が中国の原子力潜水艦の音響データを入手する船)5隻がある(10年前は中国軍と衝突して水のかけあいが起こった    ことも)

・弾道ミサイル追跡艦(後方の2つのレーダーで弾道ミサイルの発射を探知)

・海洋調査船(潜水艦の行動に必要な海底の地形や海中の潮の流れのデータを調査)

⑥陸軍事前配備貯蔵(A P S)の拠点

・アメリカ陸軍が戦争に用いる資材をあらかじめ世界各地に配備貯蔵(ノースドックは揚陸艇などの揚陸作戦用の資材)          →2002年当初、外務省は「無人の舟艇(小型ボート)」の保管であって運用はしない」との説明→実際は守られてなかった政府に約束→運用されていた!

⑦米軍ヘリの訓練・発着場所(タッチアンドゴー・吊り下げ・周回飛行・夜間訓練)→日本の航空法では許されていない

民間のタンカー

⑧米軍オスプレイ搬出入の拠点

・横田基地→ノースドック→アメリカ

⑨横須賀海軍基地の補完機能

・壊れた空母艦載機を本国に搬出

このように横浜ノースドックの機能は多岐に渡りますが、近年、軍事利用が進み、横浜港の民間埠頭(鈴繁埠頭)を利用して大型輸送艦が停泊し軍事物資の積み下ろしをしたり、民間ドックで大型艦船の修理が当たり前のように行われています。これに対し、横浜市は市内の米軍施設の早期全面返還を求め、ドッグの機能が強化されないよう政府やアメリカ側に要請してきた経緯があります。

新部隊の配備で中国念頭に輸送力を強化

2024年2月に、新たに配備されたアメリカ陸軍の小型揚陸艇部隊『第5輸送中隊』の運用が始まりました。

2023年1月に外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で

合意し、アメリカ陸軍は目的を「インド太平洋地域での災害発生時を含む海上機動力を強化するため」と発表し、沖縄の海兵隊を改編します。(M L R)

M L Rが担うE A B O(機動展開全身基地作戦)は海兵隊の新たな対中国戦争の構想ですが、アメリカ海兵隊のみならず、陸上自衛隊もE A B Oと同種の戦争構想を作成しています。

この横浜ノースドックの揚陸艇部隊は、在日アメリカ陸軍第10支援群(沖縄県読谷村よみたんそん トリイステーション基地)の指揮下に置かれ、配置済みの船舶13隻を使い、要員280人を本年中に配置していくといいます。

これはすなわち台湾有事に対し、ノースドックに新編された揚陸艇部隊が実践的な役割を担うことを意味し、戦争遂行の実質的な拠点となり、さらには相手国からの攻撃対象にもなりうるということです。

神奈川県は沖縄に次ぐ基地県

私たちが住む神奈川県は横須賀基地、厚木基地、相模補給廠、キャンプ座間など重要な米軍基地が多数存在するほか、在日アメリカ海軍や陸軍の中継機能も集中し、さらには横田基地、富士演習場などとも隣接しており、ノースドックはそれらと海洋交通を結ぶ玄関口と言える重要な役割を担っています。

そして最近メディアでも取り上げている基地の泡消化剤などに使われるP F A S(有機フッ素化合物)汚染問題もあります。大和市の引地川、座間市の地下水、相模原市の井戸水、綾瀬の川、横須賀市の基地の排水処理施設など県内各地で高濃度で検出されており、「永遠の化学物質」と呼ばれなかなか分解されず、人体や環境に対する大きな懸念があります。

米軍の性犯罪や暴力の問題もあります。

こういったことも含めて、こうした基地問題は神奈川県全体に危険が及ぶということ、横浜港が戦争の攻撃拠点となることを黙認すれば、私たちは戦争の加害者にも被害者にもなるということ、そして特に犠牲になるのは責任のない未来ある子どもたちです。私は子どもたちが担わなければならないツケの大きさに絶望感を感じつつも、次世代にしっかりと伝えていかなければならない責任があり、少しでも戦争の影から遠ざけるよう子どもを守るために声を上げなければいけないと強く思います。まずは多くの方に知ってもらい、「横浜港に戦争を持ち込むな」と声を上げて横浜ノースドックの揚陸艇部隊の配備についてやP F A S流出問題についてはきちんとした調査や情報提供をもとめて、主従関係となっている日米地位協定の改定に向け連携しなければならないと強く感じました。

 

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