沖縄から平和を考える〜全国地方議員交流研修会in沖縄〜1日目

2025年1月29日〜31日で開催された「全国地方議員交流研修会in沖縄」は、330人(通年の研修会の2倍)と、多くの地方議員が那覇市の琉球新報ホールに集まりました。関心の高さとともに、それだけ戦争という言葉が日本に押し迫っているといった危機感も感じました。また、党派を超えた議員が集まっているということの驚きと、今こそ党派を超えて一致することができるのではという期待も込み上げました。

1日目のプログラムを抜粋して紹介します。

①玉城デニー沖縄県知事

「沖縄、日本を再び戦場にさせてはならない」〜日米地位協定の見直し実現をめざす〜

基地にまつわる米軍の暴行事件・航空機事故・騒音問題・PFASなどの問題の要因には日米地位協定の問題があり、沖縄県が行った他国の調査報告があった。平成29年〜令和4年にかけてドイツ・イタリア・ベルギー・イギリス・オーストラリア・フィリピン・韓国の計7カ国の調査によると、航空法などの自国の法律や規則を米軍にも適用しており(韓国を除く)日本における米軍基地の運用状況とは大きく違うことが明らかとなった。米軍基地をめぐる諸問題の解決を図るためには地位協定を見直す必要がある。また2023年12月に米軍基地を作らせるための、辺野古の埋め立てをめぐる代執行訴訟の判決については「主権者は誰なのか」という自治のあり方について考えるべきである。また米中韓台湾との規制緩和と信頼醸成に向けた沖縄県の地域外交の意義と可能性についての話で締めくくられた。沖縄の存在が今後の平和の架け橋になるという希望を感じた。(他国地位協定の調査報告の詳細は別途投稿)

②羽場久美子さん                                                     

「戦後80年、私たちから平和を作る〜欧米からグローバルサウスの時代へ。沖縄、長崎、広島、全国市民を平和のハブに!」

・日本の明治・昭和の50年間の戦争は国民を幸せにしたのか?原爆投下、沖縄戦や本土でのたくさんの命の犠牲で終わった。アメリカについていくことは日本にとって幸せを招くのか?

・バイデン政権は新たな戦争の時代を作った。トランプの一国主義は世界の安定と平和を招くのか?

・新しい国際秩序を作るのは、先進国ではなく中国、インド、BRICS諸国、グローバルサウスではないか?欧米時代の植民地、軍事支配は衰退に向かい、今後アメリカは10年で中国に抜かれ、30年でインドに抜かれ、アジアの経済が世界の過半数を占めるようになる。中国を封じ込めるのではなく、今やるべきことは「対立していた国と和解する」。多様な価値や違いを認め、中国、インド、アジア、アフリカなどの連携と協力すること。「先進国が戦争で儲け、後進国との格差を広げている。グローバルサウスこそ平和を実現する」

・戦争を継続する「国家」でなく 市民・自治体からの平和を!                                     地域と地域で不戦共同体を 沖縄の自治体外交を全国の自治体に広げ、自治体レベルで平和と経済発展、貧困を救い青年を育てるような取り組みを。

・被団協に学ぶこと。ほぼ80年間、核廃絶に向けて闘ってきた被爆者の方々と共に戦争をさせない、核を使わせない、命と暮らしを守るために若者に語り継いでいくこと。

③鈴木宣弘さん

「パフォーマンスでは済まされない〜限界近づく脳と食の危機 詰めの甘さをどう克服するか」

戦後、アメリカの占領政策のもと、農産物の貿易自由化が進められ、日本の農業の弱体化と食料自給率の低下が進んだ。しかし食料が安く輸入できる時代は終わり、一方で日本の農業の状況は物価高騰でさらに厳しくなっている。あと5年で担う人がいなくなるという集落が山のようにある中で、私たちは子どもたちの命をどうやって守ることができるのか?まさに農業の問題は消費者問題であり、国民一人一人の命の問題である。アメリカの在庫処分のミサイルを買うのに数10兆円も使うお金があるなら、農業を支えて食料を守ることが1番の安全保障であり国防ではないか。

私たちがやるべきことは自分自身がリーダーとなって各自の地域で耕作放棄地を耕して農家の方とともに一緒に作って一緒に食べるような、ローカル自給圏を各地に作る。自治体の政治、行政がそういった活動をしっかりとサポートしていくことが進めば国も動かせるのではないか。

④三上智恵さん「米軍基地・自衛隊基地に翻弄される沖縄」

あの角を曲がれば戦争があると言われていたのが今は目の前に戦争がある、私たちは流れるプールの中に入ってしまった、、三上監督の映画のダイジェスト版が流れて言葉に詰まる。子どもたちもこの時ばかりは画面からほとばしる魂の叫びをジッと見ていた。       

「標的の村」 オスプレイ着陸帯建設反対の東村・高江の住民を国は訴え排除しようとする一部始終を記録                                 

基地問題とは?→国が国防という名の下に沖縄県民の人権を奪い続けている問題である                       

「戦場ぬ止み」(いくさばぬとぅどぅみ) 辺野古の建設に反対の翁長知事を誕生させたが何をやっても国策は止まらない       

「標的の島 風(かじ)たかか」 なぜ軍事要塞化が進むのか、日本列島を防波堤として中国を軍事的に封じ込めるアメリカの戦略〜エアシーバトル構想 オフショアコントロール                                            

「沖縄スパイ戦史」沖縄戦におけるゲリラ戦やスパイ戦                                                          

「戦雲」(いくさふむ)沖縄本島、与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島で日米両政府の主導のもと急速に軍事要塞化が進んでいる。自衛隊ミサイル部隊の配備、弾薬庫の大増設、基地の地下化、そして全島民避難計画。九州から南西諸島を主戦場とした防衛計画。全国の空港、港湾の軍事拠点化が進められている

 

どの映像も背筋が凍りつくような恐ろしさと住民のやるせなさと祈りが伝わってくる。何ができるか全国民が真剣に考えなければいけないのだと思い知らされる。

「沖縄は大変ね」とよく本土の方から言われるそうだ。まるで人ごとで対岸の火事。あなたにも火がついていると知ってほしいと訴えていた。

「多少の犠牲は仕方がないのではないか、自衛隊がかわいそうだ」と生徒に言われたそうだ、その犠牲がいつも同じ地域で同じ人だったら?やはり人ごとではいけないのだ。

 

⑤伊良波純子さん(沖縄県女性団体協議会)                                           

2024年12月に行われた「米兵による少女暴行事件に対する抗議と再発防止を求める県民大会」報告  

性暴力は絶対に許さない、無かったことにしないとの思いが伝わってきた。(その後、県民大会で採択された決議文と、新たな米兵事件発覚に対する抗議声明を携えて2月6、7日に政府の関係象徴に要請した。)

〜子連れで参加しての感想〜

こういった研修会に参加するのは(決められている鎌倉市の委員会視察と姉妹都市交流以外では)自発的には初めてで、しかも、子ども連れで参加という決断に緊張と期待と興奮で胸がいっぱいでした。

きっかけは2024 年10月の横須賀ピース・フェスティバルにて、この研修会の実行メンバーの方との出会いがあり、講演者の方が錚々たるメンバーであることと、何よりも辺野古の現地視察はどうしても行ってこの目で見たいの思いがありました。とは言え、子どもがいると中々簡単ではなく「預け先は母が良いが、平日で学校があるので滞在してもらうか、大病をしたので負担はかけたくないし、、。地域のママ友にお願いするか、でも大変だろうなあ、、」などと考えあぐねた挙句、実行委員会の事務局の方に相談してみた所、ナント、

「ぜひ、お子さんを連れて参加してください。未来ある子どもさんが参加してくれるのは大歓迎です。」

と即答。子連れは厄介で、良い顔はされないという議員の世界の中で、初めてのウェルカムな対応を受けて正直なところめんくらいました。後からじわじわと感動が押し寄せてきて、これは絶対に行かなければと決意しました。

(上の子は行きたいと希望。下の子は初めての飛行機が怖いことと学校を休むことに罪悪感があったようで最初は難色を示したものの留守番の選択肢も出して話し合いを重ね、行くことに前向きになる)

事務局のかたに何回も相談し、沖縄出身で共に平和の活動をしている友に交通面などのアドバイスをもらいながらのバタバタの沖縄行きとなりました。

なぜそこまでして行きたかったのかと言えば、やはり子どもたちの未来のために少しでも平和な安心な社会になってほしい。そのために平和の活動をもっと広げて行きたい、ずっと続けて行きたいと思うからです。

2024年12月には被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)がノーベル平和賞を受賞するという素晴らしい出来事がありました。鎌倉市でも授賞式の日を祝うイベントを開催し延べ100名を超える市民が参加し、快挙をみんなで喜びました。また、今年は戦後80年という大事な年でもあります。3月には核兵器禁止条約の締結国会議が行われますが、批准していない日本政府は、被団協からの要請を受けたにもかかわらず、効果は限定的だとのことで参加は見送るとし本当に残念です。戦後80年に向かう今、唯一の被爆国としての日本のあり方は大きく、トランプ政権、少数与党の石破政権の中で、戦争をなくすために日本がとるべき道が厳しく問われていると思います。そういった中で少しでも平和に近づくために何ができるのかと思い、この研修会に参加できたことは本当に良かったです。

(最後の写真は那覇市役所 緑化していてとても素敵)

2日目報告に続く

 

 

Follow me!