沖縄の子どもの貧困から見えてくるもの〜第20回全国地方議員交流研修会2日目
第20回全国地方議員交流研修会の2日目は5つの分科会に分かれて行われました。私の選択したテーマはこちら
「こども計画策定」にあたって 子どもの貧困の解消へ
①山内優子さん(おきなわ子ども未来ネットワーク)「沖縄の子どもの貧困から見えてくるもの」
沖縄の子どもの貧困率は3人に1人、高校進学率が全国最下位といった深刻な影響を与えているにも関わらず 車社会であるため、車を手放すことを避けて生活保護を申請しないなどの問題があります。
戦後は全国的に貧困だった!、、、でもなぜ沖縄は1番なのか?
・地上戦で巻き込まれて多くの子どもが犠牲になり、沖縄は焼き払われゼロからの出発だった
・終戦後はアメリカが統治!(仮収容所11ヶ所を設置、戦災孤児3000人)→貧困放置で少年犯罪が2倍に!
・貧困の子どもを救うために「児童福祉法」制定1947(母子寮、保育所、児童館を設置)
沖縄では6年遅れたため青少年の非行増加!(1953琉球政府→1972本土復帰)
・基地のない平和な、本土のような暮らしができると思ったら、、
1975沖縄国際博覧会後の不況で倒産・夜逃げ、子どもが置き去りに (1985離婚率全国1位(経済的な問題)母子家庭未婚の母が2倍)
子どもを貧困から守るための「居場所づくり」開始(2016 沖縄子供の貧困対策緊急対策事業10億の予算)
・子供の貧困対策支援員配置121人(子どもを支援につなげるための調整)
・子供の居場所の運営事業135箇所(食事、学習、生活支援→自立に向けての支援が必要→学歴と資格(高卒・運転免許)
子ども計画の策定に向けて
・それぞれの地域の特性を踏まえ、予防的な視点からの支援も行う
・不登校対策
・貧困解消の最終目標は自立!
②木本邦弘さん(沖縄県教職員組合委員長)「教育の現場から子どもの貧困をどうとらえているか」
学校現場から見た沖縄の子どもの貧困の現状→家庭訪問の廃止で家庭の状況が見えにくい
兄弟が多い、低収入、離婚、虐待、不登校、いじめ
土日給食がない、修学旅行に行けない、部活が続けられない、日本語指導が必要な児童の増加
沖縄の教職員の働き方の現状→余裕・時間なし
教職員、支援員不足の常態化、カリキュラムオーバーロード、特別支援学級の在籍数が激増、部活動の過重負担
幼稚園・子ども園はさらに厳しい働き方、県教委は全国より低い正規率
自治体の取り組み
・中城村15人学級(2018~)質の良い教育(児童に教師の目配りができ児童同士の話し合いも深まる・意欲を引き出す教員の力量)
・2023「働き方改革推進課」を新設 県教委と市町村教育委員会と連携協働して「教員業務支援員」(先生のお仕事サポーター)配置に係る予算の拡充 (2023 1億→2024 4億5千万)
・春休みの延長
〜分科会の感想〜
私の参加した分科会は70人ほどの地方議員が集まっていました。女性の若い議員の方も多く参加されていました。
沖縄は貧困率が高く、若年出産率・出生率は全国1位で未婚も多いにも関わらず、養子縁組は少ないとのことで自分で育てるという選択をしているようです。成人式に子どもがい流・すでに離婚しているといった母親も珍しくない、そういったことを恥ずかしいと思うような環境ではないとのことで、県外との大きな違いだと思います。また、大阪市議から「ひとり親家庭等自立促進計画」における支援についての紹介があり、特に家賃補助の需要がありつつも、なかなか受給には至らないという課題は鎌倉市も同じだと思いました。ひとり親の貧困や不登校・いじめ、支援級の人数の増加などの問題は、全国的に変わらず、大きな問題に直面していると改めて思いました。
鎌倉市で共に平和活動を続けている沖縄出身の友から借りた本「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」(著:樋口耕太郎)を読むと、 貧困から抜け出せないさまざまな要因が複雑に絡み合っているのを感じます。基地の経済の援助により、日本で最も援助を受けている沖縄がなぜ日本最大の貧困社会であるのか。。。
・労働者の所得の低さ、非正規雇用の多さ、若年出産により高等教育の機会を奪い、離婚率も高い。
・助成などの支援策は十分あるが対処療法にしかならず根本的な解決策にはならないために貧困がなくならない
・優しい沖縄人というイメージが強い反面で、同調圧力が強く、できるもの、頑張る人いじめがある、他人にnoと言えない社会構造
・昇進を望まない労働者・定番を買い続ける、現状維持を好む消費者・競争が少ないため革新を妨げ低品質の人間関係を壊さない事業のプロではなく沖縄社会のプロである経営者の3者が合致している。
沖縄の社会構造が若者から創造性を奪い労働生産性を低下させ、さらなる低賃金を生み出すという悪循環が生じているといいます。
沖縄の問題はとても大きく、沖縄の根本原因を見つめ直すことで日本の根本原因を見つめ直すこと、そして私たち自身を見つめ直すことができると思います。鎌倉市の問題は、今の子育て支援に先陣を切って取り組み、不登校支援などのサービスが進んでいるとも言えますが、対処的な療法で根本的解決になっているのか疑問に感じています。富裕層も多く、特に、コロナ禍で格差が進み、ひとり親やヤングケアラー、貧困のこどもが孤立しています。格差が進むと差別やいじめも増え、そういった格差をいかに減らしていくかということの議論が必要です。今こそ、一人一人が自分らしく暮らすことができる社会、人権の大切さを問い直すことが真の平和につながるのではないかと感じました。
PS 1日がかりの分科会は、さすがに子ども連れは難しく、途中から沖縄県立図書館へ。子どもコーナー、ティーンズコーナー充実していて素晴らしい!1日中いられる図書館!鎌倉市も参考にしてもらいたいです。