12月議会の一般質問 ⓶香りの害について

12月議会の一般質問では子宮頚がん(HPV)ワクチンの質問に続いて、香りの害についての質問をしました。

香りの感じ方は個人差が大きく、いい香りと思う人がいる一方で苦手な人もいます

私も香水や芳香剤、柔軟剤などの強いにおいは苦手で、特に売り場の混ざったにおいがする場所は息がつまるほどの苦しい時があり、急いで退散してもしばらくは咳やくしゃみが止まらなくなることがあります。良いにおいだとして売り出しているにおいを「苦手だ」とはなかなか言えず、鼻をグズグズさせていると風邪でも引いているのかと周りに心配をかけたり、特に今のご時世は誤解をされないように苦しくてもマスクをして気を使う日々です。香り成分は空気中に漂うため、受動的に暴露することになり、いわば公の害と書く公害からもじって、`香害`と呼ばれるようになったそうです。強い香りを発する洗剤や柔軟剤、芳香剤、消臭スプレー等の利用が増え、人工香料が頭痛・吐き気・めまい・のどの痛み・咳が止まらなくなる・かゆみの誘発・鼻炎の悪化・手足のしびれなどを引き起こしています。

7年ほど前から神奈川ネットに香料による被害相談が寄せられ、日本消費者連盟や市民団体の活動と並んで香害対策の取り組んできました。2018年の調査では電車や職場・公共の場での強いにおいで気分が悪くなり職場に行けない、近隣の洗濯物のにおいに毎日悩まされている、子供が部活合宿から帰ってくると衣服の洗濯のにおいに毎回全部捨てなくてはならない、貸し借りした子どもの服が洗っても臭いが取れずに困る、子どもが学校のにおいが辛くて教室に入れないなどの声があります。

日本消費者連盟などで作られる「香害をなくす連絡会」が2019年末から3ヶ月間行った調査では回答者9030人中、香りで体調変化があると答えた方は約80%の7136人でそのうちの18・6%もの人が学校や職場に行けなくなったとあります。

国はようやく香り製品による体調不良があるということを認める

2021年2月の衆院予算委員会では羽生田文部科学大臣は「学校に来られない子がいるなら極めて重い課題」と答弁し、ようやく夏に香害の周知と香り製品の自粛を求めるポスターを、消費者庁・文部科学省・厚生労働省・経済産業省・環境省の5つの省庁が連名で作成、発行しました。周囲に理解されず苦しんでいる人にとってこの国のポスターは我慢をしているあなただけの話ではなく、特別な人の話でもなくみんなで考えていくことが必要だという配慮へのきっかけ作りになると思います。

香害が課題解決に向けて動き出している

10月に関西のクリニックでは香害を専門とする外来が開設されました。90自治体以上がポスターやリーフレットで香りの自粛を呼びかけています。また2005年の岐阜市から始まり、埼玉・札幌・桑名市・今治市・北名古屋市・上越市・藤沢市・平塚市・大和市・綾瀬市などが独自の取り組みをしています。鎌倉市も国のポスターを学校や保育所、高齢者施設や公共施設などの多くの場所になるべく多く張り出してもらうこと、年齢に応じた子供達へ向けた鎌倉市独自のポスターを作るなども検討してもらうよう要望しました。

自然のにおいが子供達にとって大切

人の暮らしから生活臭や体臭を取り除くことに思考が偏り、人工的に作り出したにおいで大切なにおいがわからなくなっています。本来、においには重要な役割があり、親は子どもの頭のにおいや汗、口のにおいで体調管理ができることもあります。においから美味しさを感じたり、その土地のにおいや街のにおい、木々や草花のにおいから季節の移り変わりを感じとったりしています。そういう自然のにおいはとても心身の健やかさにとって必要であり、特に子どもたちには五感を働かせて生きる力を養ってほしいと思います。

毒性の強いイソシアネートには注意!

香りで影響を及ぼす原因の1つに化学物質であるイソシアネートが柔軟剤などに含まれており、香りを長続きさせるマイクロカプセルには目的ごとに多種類のイソシアネートが使われています。キャップ1杯に1億個もの消臭成分のマイクロカプセルが入っておりそれが繊維の中に入り込み、割れることで香りが長時間続き、呼吸器、目の粘膜、皮膚などに影響を与えると指摘されています。この他にも子どもたちは化学物質にあふれた中で生活しています。月曜日の朝会では週末に洗濯した学生服のにおいにクラクラとめまいがする、ハンドクリームのにおいをイヤだと友達に伝えたら嫌がらせされた、先生の香料がきついと伝えたらいじめを受けた、においのする教室に入れず真冬でも校庭の片隅で学習する子供達がいるのです。鎌倉市の中学校でも体育の後の制汗スプレーのにおいで具合が悪くなるとの声が多かったことから無臭にするというルールができたと聞きましたが、無臭にする化学物質が使われているというだけで有害であるということを理解していただきたいです。香りの大きな害であるイソシアネートは既成の対象とすべき化学物質であることが解明されてきています。使用している柔軟剤等の全てに成分表示の義務化を国に求め、子どもたちの健康や安全な環境を守っていきたいと思います。

 

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