2022・6月鎌倉市議会 一般質問その1は小学校給食について
今年の5月であっという間に任期2年目に入りました。給食プロジェクトなどを計画していた矢先に子どもが陽性になり、時間差で私が続き2週間以上の自粛となりました。買い物もままならず、外出できない子どもたちのストレスと私の体調不良にも関わらず、助けも呼べない状況に不安を感じるとともに、一人暮らしやひとり親家庭の大変さを見に染みて感じることができました。自粛明けすぐに今期初の鎌倉市6月議会が始まりました。一般質問は見送ろうか悩みましたが、4月から給食の公会計化に伴い牛乳の停止に診断書が必要になって困っているとの話を聞いていたのでやろうと決断し、バタバタで挑みました!
一般質問は次の3項目です。
1・小学校給食について
2・子どものマスク緩和について
3・鎌倉市プラスチックごみゼロ宣言と子どもの環境教育について
まずは1の小学校給食についてです。
私たちの暮らしや健康の1番の基盤である食の安心安全が脅かされています
昨今のコロナウィルス感染症の蔓延とロシアのウクライナ侵攻により、小麦をはじめとした原材料は世界的に価格が高騰し、輸入に依存する日本は特に影響が大きく農業の担い手、タネ、農地についても危機的な状況にあります。
日本の食料自給率は37%と先進国の中では最低であり、ひとたび世界的な食糧危機が起きれば日本は飢餓に見舞われます。40年前までは野菜の種子は国産100%の伝統的な固定種で農家が自ら種を採取して使っていたのが、今では種子の採れない1代限りの品種(F1品種)になり、しかもその90%の種子が海外産です。つまり、種子の輸入ができなくなれば多くの野菜はできず、F1品種には特許があるため値上げや売らないとされる場合もあります。
遺伝子組み換え食物の問題もあります
EU、中国、ロシアなど世界が遺伝子組み換え食品は作らせない、輸入させないという方向に動いているにも関わらず、日本だけが突出して遺伝子組み換え大国になろうとしています。「遺伝子組み換えでない」と表示されているのは納豆や豆腐などほんの一部の食品だけで、輸入トウモロコシの約9割が遺伝子組み換えであり、そのうち72%が牛や豚の飼料などにも使われており、知らない間に食べている可能性があります。今世界中で栽培されている遺伝子組換え作物は除草剤耐性と殺虫性のどちらか、もしくは両方の機能を持つ品種が主流です、除草剤耐性の遺伝子組み換え作物はほぼ特定の除草剤とセットで使用されます。多くの除草剤には発がん性のリスクを指摘される成分が含まれ、作物や土壌への残留が心配されています。殺虫性を持たせた遺伝子組換え作物は食べると昆虫が死んでしまうため殺虫剤を使わなくて良いので作る側の効率は良いですが、それを人間や動物が食べ続ける影響も解明されていないのが現状です。研究開発の歴史はまだ浅く、健康や環境の面で十分に検討しているとは思えません。
また遺伝子組み換え食品と同様に遺伝子操作をして生み出すゲノム食品を、厚労省、消費者庁、農水省は2018年、ゲノム編集食品は遺伝子組み換えではないとして、安全審査の手続きもいらず、表示もなく任意の届出だけで流通させると決定しました。
F1の種子、遺伝子組み換え種子、ゲノム編集もすべて1代限りであり、このような種に頼っていたら、大規模な気候変動で農作物が育たなくなった時に日本は飢えてしまう状況も考えられます。現在、種子法廃止違憲訴訟が行われており、つい最近でも第7回の口頭弁論が行われましたがこのような私たちにとって大事な報道は全くされていません。
日本の食品添加物は1500種類以上に及びます
古いところでは1977年アメリカ上院の「栄養と人間ニーズ特別委員会」が
「食品添加物や農薬、その他の化学物質が子どもの脳と心の正常な発達を妨げる」と報告しています。英国食品基準庁が委託した研究で子どものADHD(注意欠陥、多動性障害)が6種の合成着色料と関連している可能性が示され、EUでは2010年にこれらの添加物を含む食品に「子どもの活動と注意力に影響を与える恐れがある」という表示を義務付ける強制食品表示規制を導入しました。
合成着色料、発色剤(亜硝酸Na)合成保存料(ソルビン酸、安息香酸Naあんそくこうさん),漂白剤の4種類は発がん性やアレルギー性などの毒性が特に強い添加物ですが、日本では普通に使われています。体が小さく発育途上である子どもほど影響を受けやすいことから子どもの体に入れることは避けるべきだと思います。
小学校給食について
給食は人と地球の健康を学ぶ1番の教材であると、子どもたちに教えている横浜国立大学附属鎌倉小学校の記事を見ましたが、私も賛同しています。
文科省は2005年の食育基本法に沿って戦後に必要とされた「栄養」から、「食育」に重点を移して2009年に学校給食法を改訂しました。
食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであるということの理解を深め、生命および自然を尊重する精神並びに環境保全に寄与する態度を養うことや、食料の生産、流通および消費について正しい理解に導くことなど大切なことが書いてあります。
また第3期鎌倉食育推進計画には食を通した健康づくり、人づくり、食でつなぐ地域づくり、食から始める環境づくりの4本の柱から食でつなぐネットワークづくりを位置づけていますが、このコロナ禍でこどもたちは黙食になり大事なコミュニケーションの時間も奪われており今後子どもたちの成長に大きく関わるのではないかと懸念しています。
市のHPの子どもの卒業生アンケートでは、H28、29年は「唯一の楽しみは給食だった」「とにかく給食の時間は幸せでした」「たくさん笑った」と書いてあり、子ども達の楽しい様子が伝わってきますが、令和2年のアンケートは
「コロナで話さず食べることになり悲しかったが給食は美味しく気持ちが温かくなる」と書いてあり、学校生活において給食は大切な時間であるとわかります。
給食が楽しみであるという子どもが多い一方で、アレルギーなどがあり、給食を食べられないような子もいます
食物アレルギーがある場合、代替食は提供されず対象食材を除去する給食であるため、毎日お弁当を作っている、そしてなるべく給食のメニューに近づけているという声も多く、我が子を守る努力を続ける保護者の気持ちに寄り添いみんなと同じ給食が食べられない子どもへのさらなる配慮が必要だと思います。
給食停止の理由については市が把握する必要があると思いますので、きちんと聞き取りをすることを要望しました。
今年度から小学校の給食費が、学校から市役所の徴収になる公会計化に伴い、牛乳停止に診断書が必要になりました
神奈川県給食会に聞き取りをしたところ、牛乳を飲む、飲まないという判断は各自治体の判断という事でしたので鎌倉市での判断になりますが、診断書が必要になり、牛乳停止がより厳しくなって戸惑っているという保護者は多いです。今は日本の二人に一人は何らかのアレルギー疾患があると言われており、また、食物アレルギーではなくても牛乳を飲むとお腹が痛くなるなど身体に合わない人も多く、私もその一人です。子どもの時、牛乳を無理に飲むとお腹が痛くなり給食後の授業中が辛かった思い出があります。
横浜国立大学付属鎌倉小学校の食育の取り組み
横浜国立大学付属鎌倉小学校では、食育に力を入れており、SNSで日々の給食の詳細を配信したり、コンポストを作り授業に活用しているそうです。670人の学校で毎日の生ごみは24、5キロ、年間4、8トンの生ごみの削減に加え、生命の循環について考えるという素敵なプロジェクトで、ぜひ各学校でも検討していただきたいと思います。
今は飽食の時代で、世界では毎年食品生産量の3分の1にあたる13億トン、日本では612万トンもの食料が捨てられています。その一方で地球上には途上国を中心に8億人以上(約9人に1人)は十分な食べ物を口にできずにいる現状があります。子ども達には食育の観点からも授業で実践できる機会を作って欲しいと思います。
牛乳停止の診断書について
牛乳を停止するための診断書を出してくれる病院がどこにあるのかわからない、診断書の値段が5500円と高額だったなどの声があります。藤沢市では市独自の食物除去の指示書を作り、保育園から小学校と共通のもので移行しやすくしており値段も1500円程度で作成できるよう医師会が医療機関にお願いをしています。市のHPには食物アレルギーの対応について、「藤沢市としてできる範囲のことを誠意を持って行っていくために学校給食における食物アレルギー対応に沿って対応しております」と、アレルギーを持つ子の保護者が安心できるような言葉で書いてあり、参考にしてもらいたいです。診断書を出してもらうことに対しては、診断書を出せる病院の情報や、診断書の金額の一律化が必要だと訴えました。
牛乳が体に合わない子どもに飲むことを促すのは、給食の時間が憂鬱な時間になりかねません。また、宗教上の理由やビーガンの方など生活様式は様々です。
保護者の中には、アニマルウェルフェアの観点から牛乳を飲めない、または飲ませたくないという方もいます。わが国も加盟する世界の動物衛星の向上を目的とする国際獣疫事務局(OIE)ではアニマルウェルフェアとは、動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的、心的状態をいうと定義しています。畜産を、その飼料や生育環境を良いものにすることで、家畜の健康を維持することができ、安全な畜産物の向上と生産性の向上につながるというとても大事な視点であると思います。アニマルウェルフェアに配慮した有機牛乳、乳製品であれば需要は増えると思いますので学校給食における牛乳の提供のあり方についても再構築する必要があるのではないでしょうか。
牛乳が飲めない様々な理由に診断書が必要になると停止が難しい方もいるということを理解し、食品ロスなどの環境負荷も考えてお茶の日を導入することや牛乳を選択制にしてほしいと要望しました。
農薬の使用について
画期的な判断が示されたモンサント裁判からEUをはじめとして世界はグリホサートの使用を禁止する方向へ動いていますが日本は野放し状態です。
またネオニコチノイド系農薬は野菜果物コメお茶などに20年ほど前から使用され始めました。EUではミツバチの大量死との関連や子どもの脳への影響を重視し2013年には欧州食品安全機関(EFSA)が「この農薬の3成分のうち2成分(アセタミプリド、イミダクロプリド)は子どもの脳の発達に悪い影響を与える恐れがある」と正式に表明しました。しかし日本ではこの農薬の使用をさらに拡大し、残留基準を大幅に緩和しています。
給食食材への不使用を徹底することを求めるとともに、以前会派の議員も取り上げましたが、学校や子どもの居場所など市内のグリホサートの除草剤、ネオニコチロイド系農薬の散布を心配しています。
また遺伝子組み換えトウモロコシは家畜の飼料となるケースが多いですが牛豚鶏の精肉だけではなく、卵や牛乳などの乳製品を含めた畜産品も飼料の表示義務はありません。例えば抗生物質、ホルモン剤、抗菌剤、遺伝子組換え作物などの使用を知ることができません。
肉類、牛乳、加工品は低農薬や遺伝子組み替えでない飼料を使って欲しいです。
ゲノム編集食品について
今更に心配なのは、特定の遺伝子をピンポイントで切断することで、生物の特徴を変える技術の総称のゲノム編集です。
ゲノム編集に対して世界各国が慎重なスタンスを取っている中で日本ではゲノム編集された食品の流通が広がろうとしています。何より表示がされないということをとても懸念しています。
ゲノム編集されたトマトの苗を開発したサナテックシード株式会社とその販売を行うパイオニアエコサイエンス社は今年から福祉施設にそして来年からは小学校に無料配布する計画を昨年発表しました。福祉施設や小学校に無料配布されてしまえば、施設使用者や小学生たちは安全性の確認もないその栽培に巻き込まれてしまうことから、90もの自治体では受け取らないという表明をしており、トマト苗を受け取るとした自治体の数はゼロです。鎌倉市にはまだそのような話は届いてないとの話でしたが、安全が確認できるまでは受け取らないと表明してもらいたいです。
給食使用食材の遺伝子組み換えの飼料、ゲノム編集についての市の見解については、今現在ないようですので質問の方は差し控えますが、ぜひ教育委員会の方で話し合って慎重に進めて欲しいです、また安心できるようにHPには詳細な情報を提供してもらいたいとおもいますが、
合わせて調味料、原材料がわかるように市のHPの給食のページに明記してほしいとお願いしました。
給食に有機食材を取り入れることについて
松尾市長が公約で有機給食を掲げられたことには多くの保護者が期待を寄せています。今治市の市長は「今治市の誇りは学校給食です」と公言されています。
今やEU、韓国、アメリカなど世界中でもオーガニック給食が広がり、日本では全国で初である、全量有機米使用の給食を4年で実現した千葉県いすみ市、
有機給食だけでなく遺伝子組み換え規制条例を制定した愛媛県今治市、
地産地消で、低農薬、無農薬、有機肥料栽培の米と野菜、非遺伝子組み換えの飼料で育てた鶏卵、無添加の調味料を使い地元の環境改善につなげている武蔵野市、他大分県臼杵(うすき)市、高知県四万十市などがあります。
地域に有機給食が広がると有機農業の面積が拡大し、とれたての新鮮な野菜の提供、生産者の顔が見える給食、輸送コスト(フードマイレージ)や包装パッケージの削減、と環境負荷がかからず食料自給率につながるというような良いことがたくさんあり、日本の未来を変えると思っています。今こそ地域で循環できる食のシステムを構築すべきです。
黙食について
宮崎県教育委員会では今月3日、県立学校に出していた新型コロナ対策の通知を見直し黙食の徹底を求める文言を削除しました。大人への行動要請の緩和が進む中、子供にだけ厳しすぎるのではないかという声が上がったということです。
福岡市長も黙食が続く学校給食について会話をしながらの元の状況にできるだけ早く戻した方が良いとの考えを示しました。本来は国が方向性を示し拠り所を作っていくことが望ましいとしつつも、現状、黙食は強制されているわけではなく自治体それぞれが判断できると発言されています。
その流れを受けて、松野官房長官も「地域の事情に応じて、適切に対応して欲しい」と述べています。
黙食を改善し従来の楽しい給食に近づけていく工夫を
給食のアンケートを見ても学校生活の中で1番楽しい時間が給食という子も多い中で黙食になり、学校が楽しくない、いきたくないという意見を実際に子どもたちから聞くことがあります。子どもたちがコミュニケーションを大切にできるように変えていく時期に来ていますので、早急に鎌倉市も黙食の見直しの検討をお願いしました。
給食のアンケートを子ども向けと同様、保護者向けのアンケートも毎年実施を
給食を通じて、各家庭から市民が啓発されれば持続可能な食習慣が普及していきます。子どもたちだけでなく誰もが健康になれる鎌倉市を目指していきたいです。